離れる前兆

彼と穏やかな時間を過ごしていた時期は、だったの数ヶ月でした。

 

 

厳密にいえば、会ってた回数も少なかったので、時間に直すとほんの数日でした。

 

 

ほんの数日にしか値しない時間でしたが、彼との時間は私の今後の人生において、とても大きな時間となりました。

 

 

ただ、ずっと後悔してたことがあります。

 

 

それは、彼の気持ちに素直に寄り添えなかった…ということ

 

 

すぐそばにいるのに、何故か心に距離があるような…そんな気持ちになることがたまにありました。

 

 

それは、私が素直に彼の気持ちに寄り添えなかったから、彼に心の壁を作ってしまったから…

 

 

「なんで好きって言わないの?」

 

 

そう聞かれたこともありました。

 

 

やはり家族に対して罪悪感は消えなかった…

 

 

素直に彼への気持ちを表現できなかった…

 

 

 

そんな私を察して、彼の心も少しずつ変化していったのではないか…と後になって思いました。

 

 

彼がたまに見せていた寂しそうな表情…

 

 

それは、素直になれなかった私がまねいてしまったことだったのでは…と今でも後悔しているのです。

彼と過ごす空間

彼と過ごす空間は、とても穏やかで優しい時間が流れていました。

 

 

話しても話しても足りないくらい…

 

 

そして、目が合うと2人でニコッと微笑み合い、私は彼の天使のような笑顔が大好きでした。

 

 

 

私は彼と一緒にいる時の自分が好きでした。

 

 

彼と一緒にいる自分が、1番穏やかで、1番優しい自分でいられました。

 

 

 

彼は、私のことを昔から知っているような…

私の本質を知っているような…

そんな不思議な言葉をいくつもくれました。

 

 

それも、自信があるような断言した言葉で…

「知ってるよ、〇〇だよ」と…

 

 

そんな彼の言葉が、彼と一緒に過ごす空間がずっと不思議でならなかったのです。

 

 

私よりもずっと年下の彼なのに、私よりもずっと大人の精神の持ち主でした。

 

 

悟りを開いた人みたい…

 

 

私が彼にそのことを言った時は苦笑いしていました。

 

 

彼は、自分のことをよく「変わり者」と言っていました。

 

 

そして、昔から勘が働くと…

 

 

私と出会った時も、勘が働いた、と言っていました。

 

 

でも、その時はまだ、彼の話す言葉や、彼と一緒にいる時の感覚が不思議でなりませんでした。

 

 

なんなんだろう…この感覚は…

 

 

ずっと思っていました。

 

 

 

でも、私は彼と過ごしている時間がとっても幸せでした。

 

 

ずっとこんな風に、彼と話して、彼の笑顔を見て、私も笑顔になれる、そんな穏やかな時間を過ごすことができればいいなぁ…と願っていました。

 

 

 

 

 

私の人生が動き出した

彼と初めて食事に行ったあの日から、私の人生が動き始めました。

 

 

ちょうど彼と出会った時期から、私の将来のビジョンに向けて計画し、実行してきたことがあったのですが、なかなか思うように行かず停滞していた時だったのです。

 

 

そしてそのことをきっかけに、仕事に関する別のお話しを頂き、先方と具体的な話しをする予定だったのですが、しばらく先方からの連絡がなかったのです。

 

 

彼と食事をし、私のやりたいこと、ビジョンを語った日からしばらくして、先方から連絡があり面談をしました。

 

 

とても良いお話しで、私のやりたいことではあったのですが、描いていたビジョンとは少し違っていたため、彼のアドバイスを聞きたいと思いました。

 

 

当時、彼の仕事も忙しく、お互いの時間の都合もつかなかったので、会って話しをすることができずメールで連絡をしました。

 

 

 

彼は、不思議と私が悩んでるのが分かる…と言っていました。

 

 

そして、自分もやりたいことを叶えるため色々なことを犠牲にしてきたこと、やりたいことができる環境にあるならやりたいことをやればいい…と彼なりの言葉で応えてくれました。

 

 

私は、彼が私の進む道に否定はしないと確信がありました。

 

 

彼は私がどんな答えを出しても、どんな道を選んでも応援してくれる人だって、私の中で確信があったのです。

 

 

そんな彼に、ただ話しを聞いて欲しかった…

 

 

自分の考えに共感してくれる人だったから、私のこれからを応援してくれる人だって確信があったから…どんな言葉でもいい、彼の言葉を聞きたいと思いました。

 

 

彼と出会って、お互いのビジョンを語り合ったあの日から、私の人生が動き始めたのです。

 

 

あれだけ停滞していた現状が…彼と出会い、ビジョンを語り、行動し、今の私があります。

 

 

今の私がいるステージは、彼が導いてくれた場所だと信じています。

新しい発見があった

彼と食事に行ったその日に、ご馳走になったお礼のメールをしました。

 

 

返事が来たのは次の日でしたが、元々連絡をマメにしないタイプだと言っていたので、返信がないのは気にしないようにしていました。

 

 

彼は、私と話しをして、新しい発見があった!と言ってくれました。

 

 

それは大したことではないけど、私と会わなかったら一生気づかなかったかもしれない…そのくらいの発見だったと言ってくれました。

 

 

私は昔から、自分に対して自信がもてなくて、誰かの役に立ちたい!誰かに喜んでもらいたい!と思っていました

 

 

そんな私の言葉が、彼の気づきになったとしたら、とても嬉しいことだと思いました。

 

 

私も、彼から沢山の気づきをもらいました。

 

 

早く会ってまた話したい…

 

 

その当時、お互い忙しい時期だったので、次の会う約束はできていない状態でした。

 

 

私も、彼の負担になりたくないから必要以上に連絡はしていませんでした。

 

 

本当は毎日でも、彼と連絡を取りたいのに…

 

 

彼の存在は、私の中で既に大きな存在になっていました。

彼の気持ち

ランチタイムの時間も過ぎ、店内も静かになってきたので、そろそろお店を出ようか…という話しになりました。

 

 

彼から、もう少し一緒にいたい…と言われ、完全に彼に心を開いていた私は、最初は躊躇していた彼との車での移動をしながら、車内で話しをしていました。

 

 

途中、コンビニで彼が飲み物を買ってくれて、そのまま駐車場に車を停めて時間を過ごしました。

 

 

「これからも会ってくれる?」

 

 

その彼の言葉の真意が何なのか、私は不思議でならなくて、どうゆう意味なのか、何で私なのか、私は彼に尋ねました。

 

 

その時に彼から「好き」という言葉を初めて聞きました。

 

 

何で?

何で私なの?

いつから?

私のどこが好きなの?

私でいいの?

 

 

私の疑問に、彼は全て答えてくれました。

 

 

 

私は恋をする資格はないし、彼の将来を奪うこともできない…

 

私と過ごす時間は、時間の無駄だよ…

 

お客さんとして、友達としてはダメ?

 

 

 

そんな会話をずっと繰り返していたような気がします。

 

 

私は彼の気持ちが嬉しいのに、素直に喜べない…

 

「ありがとう」とは言えても「これからも会いたい」と言う彼の言葉に頷くことができない…

 

自分の気持ちが分からない…

 

何が何だか分からない…

 

 

そんな想いから涙がポロポロ流れてずっと泣いていると、彼が優しく頭を撫でてくれていました。

 

 

こんな風に優しく頭を撫でられるなんて…私は今までの恋愛でもなかったような気がします。

 

 

私も本当は、また会いたい…

 

でも、そんなずるいこと出来ない…

 

 

そんな私に彼は言ってくれました。

 

 

「ずるいのは自分の方、勝手に好きになって勝手に気持ち伝えて…」

 

 

こんなにも正直に自分の気持ちを伝えてくれる…それなのに私は正直に気持ちを言えないなんて…本当に辛かった

 

 

でも、自分の気持ちに嘘はつけない

 

また会いたい…

 

また会って話がしたい…

 

 

 

 

「私でよかったら…」

 

 

 

家族に罪悪感がありながらも、自分の正直な気持ちを優先してしまいました。

 

 

 

彼は、私の家庭を壊す気はない、会える時に会ってくれればいい、と言ってくれました。

 

 

そして、あまり遅くなるとよくないと、その日も夕方には別れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

約束の日

彼と連絡先を交換した2週間後、約束の日がきました。

 

 

私の方が先に着いたので、店内に入り席で待つことにしました。

 

 

彼は場所に迷ったらしく、少し遅れて来ました。

 

 

「遅れてすみません、来てくれて良かった…」

 

 

彼は、私がもしかしたら来ないのではないか…と思ったらしいのです。

 

 

 

初めて彼の働くお店以外で会うことに、ちょっぴり緊張もしました。

 

 

仕事以外の彼の服装とか持ち物を見るのは初めてだったので、新鮮でもあったし、実年齢よりも若く見える彼が更にカッコ良く素敵に見えました。

 

 

会話は尽きることなくずっと話してました。

 

 

仕事のこと、過去の恋愛のことなど、結構深い話しなどもしていました。

 

 

そして、お互いの夢の話しもしました。

 

 

私はちょうどその当時、仕事で次のステージに進もうとしていた時でした。

 

 

でも、なかなか上手く進んでなかったり迷いがあった時期でもあったのです。

 

 

実は、私も彼と同じ接客業をしています。

 

 

そんな共通点のある彼に対して、普通の人からは綺麗事と思われるようなことや、私の仕事に対する想いを彼には熱く話すことができたのです。

 

 

彼なら分かってくれる…

 

 

初めて彼と会話した時から感じた、安心感、信頼感は、私の心を彼に対しては抵抗なく開いていました。

 

 

そして彼も私の話しを真摯に聞いてくれる…

 

 

そんな人って今までいませんでした。

 

 

 

実年齢より、かなり若く見える彼ですが、話すと凄く大人で、そのギャップが魅力でもありました。

 

 

家族をとても大切にしているところ、仕事に対する想い、考え方…

 

 

話せば話すほど、彼に対して尊敬の想いが溢れてきました。

 

 

そして真剣な話しをしているときの大人の表情と、時折り見せる天使のような笑顔が印象的でした。

 

 

彼のやりたいこと…その話しを聞いた時、何か私と通ずるものを感じました。

 

 

こんなにも波長の合う人がいたなんて…

 

 

話しても話しても足りないくらい、あっという間に時間は過ぎました。

 

 

 

 

 

 

2度目の連絡

腰の状態は1週間ほどで落ち着き、その頃彼からの2度目の連絡が来ました。

 

 

「前日まで連絡しないと言ったのに、すみません…」と

 

 

 

でも、私はそんな彼の連絡がとても嬉しかったのです。

 

 

2週間も連絡がないのはやっぱり寂しかったから…

 

 

 

そしてその日、ご飯に行く場所を決めることにしました。

 

 

すると偶然にも、私が考えていた場所を、彼が提案してきたのです。

 

 

彼は1度も行ったことない場所だったけど、調べてみたら出てきた…と言っていました。

 

 

その時は単なる偶然だと思っていましたが、今思えば、私の気持ちが彼に伝わった…そんな特別なものを感じるのです。

 

 

彼からのメールは、文章からも彼の人柄が伝わるような…そんな優しい空気に包まれたやりとりになりました。